今回は視聴者がいると分かっているとパフォーマンスが向上するという2018年にSocial Cognitive and Affective Neuroscienceに掲載されたJohns Hopkins大学の研究を紹介します。
人前で何かするのは緊張や混乱でパフォーマンスが落ちると思われがちですが、この研究によると実際にはパフォーマンスが向上したということです。
実験内容
人前でゲームをしてもらう実験
20人の被験者にビデオゲームをしてもらいました。
ゲームの出来に応じて少額のお金が支払われるというルール付きで。
また、観客が「2人いる状況」と「誰もいない状況」でゲームを行いました。
実験の間は脳活動をMRIで測定します。
実験結果
脳の活性化
MRIの結果によると、被験者が観客の存在を知っているとき、社会的認知に関連する前頭前野の一部、特に他人の思考や意図に関連する領域が活性化したということです。
パフォーマンスの向上
被験者が観客の存在を知っているとき、ゲームのパフォーマンスは平均で5%向上し、最も向上した人で20%だったということです。
ただし20人中2人は良くならなかったらしいです。
考察
なぜパフォーマンスが向上するのか
前頭前野の活性化で運動機能や意思決定に関連する大脳基底核の腹側線条体が刺激されるためだと考えられています。
ただし研究者は、観客の規模やお金の量が大きすぎると不安の度合いも増加するため、結果が変化する可能性もあると主張しています。
まとめ
視聴者がいると分かっているとパフォーマンスが向上するというJohns Hopkins大学から発表された研究でした。
- 他人に見られているという状況下ではパフォーマンスが向上する傾向がある
- 不安が大きすぎる場合はパフォーマンスが低下する可能性もある
多くの人の前で話すのは緊張しますが、慣れと共に緊張や不安の度合いは低下すると思います。
適度な不安のある状況下では今回紹介した研究結果のように、パフォーマンスの向上が見込めるのではないでしょうか。
電車の中で座って本を読んでいるときに目の前に人に立たれると読書スピードが上がるのはこれですかね。
人に見られる環境は作りにくいですが、カメラで動画を撮っておくだけでも効果あるみたいです。ぜひお試しを。
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