2019年にFrontiers in Psychology誌で発表されたレビュー論文によると、自然の中で過ごすことは子供の学習能力を向上させるということです。
子供だけではなく大人にも良い影響を与えると考えられるので、この論文に書かれている内容を軽くまとめます。
自然が学習を促進させる5つの要因
多くの研究で以下の5つの状況下では学習が促進されることが明らかになっています。
- より注意深い
- ストレスが少ない
- 自己規律(自制力)がある
- 好奇心旺盛である
- 身体機能が高く健康的である
自然の中で勉強することは上記の状況にポジティブな影響を与えることが判明しているのです。
注意力を改善する
精神的に疲れている成人や子供に対する注意力改善は、ある野外研究(FaberTaylor and Kuo、2009)や他の様々な研究で明らかになっています。
また緑の景観のある教室に割り当てられた学生は窓のない教室に割り当てられた学生よりも集中力テストのパフォーマンスが優れていたということです(Li and Sullivan、2016)。
ストレスを和らげる
自然がストレスを軽減させることは多くの研究で報告されています。
例えばある高校の教室の窓の景観を植物にすると、学生の心拍数と自己申告によるストレス値が減少するのに対し、窓のない教室では特に変化しないことが分かっています(Li and Sullivan、2016)。
さらに週に1日だけ森林環境で勉強する学生は屋内で勉強した学生はストレスホルモンのコレチゾールが減少する傾向があったということです(Dettweilerら、 2017)。
自己規律(自制力)を高める
自然の大人に対する自己規律のポジティブな影響(Chow and Lau、2015など)や子供に対するポジティブな影響に関する研究(Sahoo and Senapati、2014など)は多いです。
自然といっても植物だけでなく馬などの動物との接触も良いとされています(Hoら、2017)。
やる気や楽しさをもたらす
自然が気分にプラスの影響を与えることから、自然環境下における学生のやる気や楽しさや没頭具合が優れていることが示唆されています(Takayama、2014)。
高い身体活動と健康を促す
心肺機能が高いほど学習能力が高いことが分かっている(Santanaら、 2017)のですが、屋外で過ごす時間が長いほど心肺機能などの身体機能が高いことが判明しています(Grayら、 2015)。
また、緑豊かな地域で生活する人々は身体機能の低下が遅いことも明らかになっています(Daltonら、2016)。
まとめ
自然の中で勉強することは学習能力が向上するかもしれないというレビュー論文を紹介しました。
自然は以下の状況を促すことで学習能力を高める!
- より注意深い
- ストレスが少ない
- 自己規律(自制力)がある
- 好奇心旺盛である
- 身体機能が高く健康的である
今回紹介した研究以外にも、自然の中で勉強すると成績が上がることやコミュニケーション能力が向上するなど、自然環境下での勉強に関する様々な研究が報告されています。
普段屋内で勉強している人はたまに大きめの公園に行ってのびのびと勉強するのも良いかもしれないですね。
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