ダイエット中だから、甘い物は控えないと!って、それ半分合ってて半分間違ってるかも。
太る原因は、「摂取カロリー>消費カロリー」のせいです。
食事が美味しいとつい食事量が多くなり、結果的に摂取カロリーが増えてしまいますよね。
今回紹介する研究は、脂肪(脂質)の消費が体重増加の唯一の原因かもしれないという2018年にアバディーン大学から発表された研究 [1]です。
ダイエットに興味のある方は今後の食生活の参考にしてみてはどうでしょうか。
それでは実験を見ていきます。
実験内容
マウスを使用した10万回以上の測定
マウスにある食事を3か月与えて、どんな食事が体重増加に繋がるのかを調べます。
マウスの3か月は人間でいうと9年なのでわりと長いです。
測定回数は10万回以上にも及び、体脂肪はマイクロMRI装置を用います。
脂肪・炭水化物・タンパク質の含有率を変えた食事
脂肪、炭水化物、タンパク質を以下の割合幅で変化させた29種類におよぶ食事をマウスに与えます。
- 8.3%~80.0%の脂肪
- 10.0%~80.0%の炭水化物
- 5.0%~30.0%のタンパク質
炭水化物は体内で糖に変換されるため、糖分と思ってもらって大丈夫です。
実験結果
脂肪の摂取のみが体重増加に繋がる
食事量は脂肪の摂取のみに影響し、タンパク質や炭水化物は影響しないことが分かりました。
原因としては脂肪の摂取のみが脳のある部分に影響を与えるからです。
脂肪の摂取が脳を刺激する
脂肪摂取が脳の神経伝達物質であるドーパミンやオピオイド、セロトニンの増加に寄与することが判明しました。
脂肪摂取が幸福度に関与する神経伝達物質を増加させることで、マウスの食事量が増えてしまい、結果的に体重増加や体脂肪増加に繋がったということが考えられます。
糖分の摂取は体重増加に影響しない
脂肪と炭水化物(砂糖)を組み合わせた食事は、脂肪だけの食事よりも体脂肪増加や食事量への影響が小さいことが分かりました。
つまり、糖分の摂取は体重増加の要因ではないということですね。
タンパク質は食欲に影響しない
脳の視床下部にある食欲や飢餓に関係する部分は、タンパク質の摂取ではあまり影響しなかったということです。
研究者の考察
研究の限界について
研究者は、今回の研究において以下のようなことを述べています。
「この研究は人間ではなくマウスを使っているところに限界がある。しかしながら、マウスは生理的にも代謝においても人間と多くの類似点があるので、人間を対象とした実験が少ない現状では、今回の研究結果は人間にとっても良い手がかりとなる研究である。」
確かにマウスと人間の食事に対する考え方は異なるので脳へは影響は同様と言って良いのかな~?って感じですよね。
まとめ
脂肪の消費が体重増加の唯一の原因かもしれないという2018年にアバディーン大学から発表された研究でした。
- 食事量は脂肪の摂取のみが影響し、タンパク質や炭水化物の摂取は影響しない
- 脂肪の摂取のみが脳に影響を与える
考察にもあるように今回の研究はマウスを対象にした実験というのがネックですね。
人間の脳は食事の味だけでなく見た目や好みにも大きく影響するため、「脂肪だけが食事量に影響する」というのは断定し難いですね。
ただし、生物学的には脂肪が脳に比較的影響を与えるという事実は変わらないので、食事の摂り方の参考にはなります。
つまり甘い物を制限するダイエットをするくらいなら、脂肪摂取量を抑えた方が効率的かもしれないということが察せるわけです。
というのも、好きなものを変に制限するのはストレスにもなり、ダイエットの継続には逆効果だろうからです。
参考文献
[1] |
“Dietary Fat, but Not Protein or Carbohydrate, Regulates Energy Intake and Causes Adiposity in Mice,” VOLUME 28, ISSUE 3, P415-431.E4, SEPTEMBER 04, 2018. |
コメント